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このごろは,視力の衰えも有って,一冊の本を一気に読み通す気力も体力も無くなっている。そこで,常に3,4冊の本を並行して読んでいることが多い。どれを読むかは,そのときの気分に任せて,読み終わるのは,数冊がほとんど同じ時期になる。 今,手許に置いているのは, ・小泉保著『現代日本語文典 21世紀の文法』(大学書林・2008年8月1日発行) ・鶴見俊輔著『悼詞』(編集グループSURE・2008年11月1日発行) ・『堀田善衞上海日記 滬上天下一九四五』(集英社・2008年11月10日発行) ・町田康著『宿屋めぐり』(講談社・2008年8月6日発行) の4冊で,小説は『宿屋めぐり』だけだから,他は,随意に少しずつ読むのには好都合だ。 長年,学校文法として中心的な位置を占めてきた橋本文法をはじめ,松下文法,時枝文法など,国語学者による従来の「国文法」に対して,異なる視点で日本語を考えようとする小泉氏の『日本語文典』は,やや独善的なきらいは有るものの,これからの時代に,外国人を対象にした日本語教育を進める上では,参考にして良いものだとも思うし,私にも,既成の概念から脱け出して考えてみようという刺激を与えてくれそうだと思って,読み進めている。 今年10月に初めて公開された堀田善衞の『上海日記』は,日本の敗戦による激動のさなかにあった上海での堀田の体験と思念に触れることが,単に過去を振り返ることでなく,過去を知るとともに,現代の問題を考える「重要な糸口」(編者・紅野謙介「刊行にあたって」)になるものだと思われる貴重な資料だ。 『悼詞』は,1950年に亡くなった池田成彬から赤塚不二夫(今年8月没)に至る119名を追悼する文章を集めたもので,巻末には,著者のいとこ・良行,姉・和子,父・祐輔,母・愛子を憶ぶ文章が併収されていて,合わせると,123名という厖大な人数に及ぶ。最近であれば,加藤周一さんへの追悼文が加わったことだろうが,鶴見の思いを通した,今は亡き人たちの墓碑銘として読むこともできるとともに,鶴見俊輔という人の時代への関心の幅の広さと器の大きさとが更めて感じられる。この本は,一般書店の店頭には出ていないので,発行・発売元から直接取り寄せたばかりで,詳しくはこれから読み始めるところだ。 『宿屋めぐり』も,8年がかりで完成した600ページを超える長編なので,こちらに取り掛かって読み終えるまでには,まだ時を要しそうだ。 |
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