ShoGのボヤキ念仏

アクセスカウンタ

zoom RSS スキマだらけ

<<   作成日時 : 2016/11/20 18:58   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 2

 「スキマだらけの歌」という言葉が心に残った。11月16日放映のBS朝日「昭和偉人伝」で取り上げられた作詞家・吉岡治(2010年没=76歳)自身の言葉だ。吉岡の詞は,「説明が一行足りない」「足りない説明というのは,聴いてる人に何かを感じて欲しいと投げかけているのだ」と作曲家・弦哲也は言う。詩作に当たって吉岡は,「聴いてる相手が感情移入するスキマ」を設け,あとは,「相手に預ける」,「聞き手に預ける」,「作曲家や歌手に預ける」ことを,文学と異なる演歌の真髄と考えていたと,吉岡をよく知る音楽評論家・小西良太郎は説明する。
 作詞家でも文学者でもない私だけれど,過去の人生を振り返ってみて,スキマが要ることに思いが及ばなかったと,今にして思う。日常的な文章を書くときにも,スキマの無い文章にしたいと心掛けてきた。「言ひおほせて何かある」という芭蕉の言葉(『去来抄』)は知っていたし,さらに古くは,「花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは」と『徒然草』にも在るけれど,その境地には遠かった。
 文章だけでなく,自分の力が及ばないこと,できないと自覚していることには,初めから手を出そうとしなかったのは,完全であることを希求する裏返しで,私の弱点でもあったのだが,家庭や職場,地域社会で,いったん引き受けた役割は完璧に果たしたいと思って生きてきた。そして,相手に頼られることに満足していた。完璧な夫,父親でありたいという完全主義は,母譲りのものなのかもしれない。
 そのことを思う母の遺詠が有る。若くして戦争で夫を喪い,幼い子を抱えて,戦中戦後を生き抜いてきた母が,その気持ちを詠んでいた。
「事あげて遺し給はぬ君なれど我が行く道は一すじにして」
「老いし母幼き児らにつくすのみ夫なきあとの生甲斐にこそ」
「悔い一つ無しと云はねど八十年力のかぎり生きし満足」
 その母の苦労に私は甘えて生きてきたと思うことも有るけれど,晩年の母は,
「終焉の地と心定め移り住む子が家の日々心安けし」
とも詠むようになった。
 今の私は,老いて「スキマだらけ」だ。何も齎すものの無い「スキマ」である。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
草ひきて仕残したるを打ち置かむ 庭のつれづれいみじくもこそ
いざよひ
2016/11/21 20:00
深読み解釈 「仕残したるを打ち置かむ」に微かな記憶がありますが、出典まで出てきません。ふと「庭のつれづれ」とあるのを見て、ブログにも徒然草とあるので、あえて歌のスキマにヒントを織り込んだかと当て推量し、徒然草を初めから斜め読みしたところ、第82段を発見。これを裏に含んだ作品と思われます。なおスキマが大事につき、解説はこれにて御免。
岡目七目
2016/11/22 20:20

コメントする help

ニックネーム
本 文
スキマだらけ ShoGのボヤキ念仏/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる