この春を憂える

 昨年暮れに,老化による視力の低下を自覚して,それまで80年近く生き甲斐のようにして続けて来た野球記録を終わりにすることにして,「中学生のころから『1年に1冊,B5判50枚1ページ30行のノートに自分で線を引いて,プロ野球だけでなく,大学,高校,社会人,全ての公式試合の記録を残すようにしてきた』けれど,今年を最後にしようと思い定めた」と書いた(19.10.30「気力喪失」-19.11.21「これでお別れ」)。ところが,その時は思いも及ばなかった新型コロナウイルスの猛威により,全国高校選抜野球大会を初めとして,例年なら今頃は酣のはずのプロ野球,大学野球,社会人野球など,全国的な全ての公式戦が中止や延期に追い込まれ,高校野球の春季地方大会も開催されないという。野球だけでなく全てのスポーツ競技が同じ状況で,記録するどころか,報道に触れる機会も無いから,老爺の僅かな楽しみもすっかり奪われてしまっている。
 私ごときの楽しみが奪われたことを嘆いてはいられない。ウイルスは世界中の多くの人たちの命を脅かし,生計が立ち行かなくなって死を思う人も少なくないのではなかろうか。政府は,収入を無くした世帯や商店主に自己申告によって生活支援の補助金を支給すると言っているけれど,事態はいつまで続くのか先の見通しも保証も無いことだ。フリーランサーや,いわゆる「日銭稼ぎ」で暮らしを維持している中小の自営業者などはどうなるのか,そこまで行き届くとは到底思えないし,故郷から離れて学費や生活費をアルバイトで辛うじて賄っている学生はどうなるのか,また,新卒で内定をもらっていた就職が一方的に取り消された人も少なくないと聞く。前途を閉ざされた人の悲嘆は,僅かな年金を頼りに細々と暮らしている老人どころではあるまい。混乱に乗じたデマや詐欺,脅迫も絶えず,この世の中には善人もいるけれど,反社会的な困った人の多いことを痛感して,それだけ,貧しい暮らしに気持ちの余裕を失っている人が多いとも思わせられる。
 「緊急事態宣言」が出されて外出を自粛するように言われても,不要不急の外出はもともと望めない私のような老爺であれば暮らしに大きな変化は無いとも言えるが,子どもたちをはじめ,生活の中心となる人々が心身に受ける影響は大き過ぎると思われる。
 季節はまさに春爛漫のとき,私に叶うことは,自宅の近くに咲く花を眺めることだけだ。
          *     *     *
わが自治会内公園の桜(2020.4.7)

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この記事へのコメント

いざよひ
2020年04月10日 20:18
膠(にべ)もなき緑押しのけ山桜 卒爾(そつじ)ながらと山を笑はす