浮動する民意

 長年の自民党政権による政治の低迷を革めるには政権の交代しかなく,民主党に票を投じることがその手段だという民意が「リーダー無きポピュリズム」(山崎正和)となって,昨年の衆議院議員総選挙での民主党の圧勝をもたらした。
 そのこと自体は,有るべき流れだったと認められるけれど,民主党がその付託に応えられるかどうかという点では疑念を抱くとともに,浮動する大衆の選択に危うさを感じたことは,当時述べた(HP:今の世を思う2009「総選挙2009」 http://www7a.biglobe.ne.jp/~say/imanoyo.09.html )。
 その危惧は,僅か1年も経ぬうちに露呈して,世論調査における内閣支持率の急激な低下となって表れたけれど,そのことによって首相が代わったとたん,支持率は跳ね上がり,新首相の消費税増税の意思表示で,また,たちまち下がったという。移ろいやすいのは,大衆の支持率というものだ。
 「ミーハー」感覚で左右されるところが大きい政治は衆愚政治だし,それを意識して,人気取り的な方策で盛り上げを図る政党の面々も,言わば衆愚にほかならない。政治主導と言いながら,相変わらず官僚に頼らなければならない現状で,真に政治家を信頼するまでには至らない。
 日本の官僚は優秀で,ごく一部を除いては,皆,真剣に仕事に取り組んでいると思う。ただ,問題は,有能であればあるほど,自分の担当する職務のことしか考えず,保身を図り,庶民の暮らし全体を見渡すことができないのが,エリート官僚の通弊ではなかろうか。例えば,消費税の問題でも,国家財政という見地からは何とかしなければならないことに違いないけれど,その増税が下積みの庶民の生活に及ぼす影響にまで気を配ることが無く,財政再建即増税という発想にしかなっていない。それに,見識に欠ける政治家が追随する。沖縄基地の問題についても,外務省や防衛省の官僚は,自分の狭い範囲での職務を全うすることしか考えていないと思われてならない。
 参議院議員の選挙が告示され,本格的な選挙運動が始まったけれど,庶民の立場で真に信頼できそうな政党や政治家が見当たらない。巷では,新党改革を立ち上げた舛添要一の人気が下がり,最近マスコミへの露出度が高い石破茂・自民党政務調査会長の評価が上がっているようだが,はたしてどんなものだろうか。
 衆愚の人気に頼って党勢の拡大を図るだけでなく,庶民の暮らしのために,政治主導で有能な官僚を活かして使える力量を持った政治家の出現が待たれる。

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