夏から冬へ

 3か月ごとの検査と診察で病院に行ってきた。血液と尿の検査には問題が無く,放射線治療から2年が経って,経過は順調だということだけれど,診療の待ち時間と利用する交通機関で要する時間とを合わせても3時間足らずのことで感じる疲れが毎回増してくるように思う。病院で疲れることは無いものの,駅や病院直通のバス停までの往復が体にこたえるようになってきた。
 この夏の暑さには,室内で静かにしていてさえ疲れの蓄積を覚えた。やっと涼しくなってきたと思うと,今度は気温の低下で身体機能の衰えを感じることが多い。やがて来る冬の寒さが今から気に懸かる。庭の百日紅や芙蓉の季節が終わり,今は金木犀が花盛りで,毎年自力で処理している樹木の剪定に取り掛からなければならない時季だけれど,背を伸ばしたり腰を屈めたりするのが辛くなってきているし,脚立の昇降も心許ないので,体調を見極めて,慎重に少しずつ対処しなければなるまい。作家の赤坂真理さんは,小さい頃,「家の庭に年に一度、植木屋さんが入る日。ある日学校から帰ると、庭の木々が枝を落とされて、すべてきれいに掻き清められている」のを見たとき,「冬の初めの日」と思ったと書いている(『作家の口福』・10月22日付「朝日新聞」)。また,「秋は年々短くなる。冬の前はすぐ夏だ」とも言う。私も実感することだ。
 スポーツのシーズンも境目に掛かっている。私にとって,スポーツの記録を整理するのが暮らしの中での楽しみなのだけれど,例年なら夏の間に片付いていた今年度のプロ野球全選手の球歴を記録した名鑑と索引の作成がまだ残っている。高校や大学,社会人野球も,シーズンの終わりが近付いて,そのまとめも有る。そのうちに,駅伝やマラソンのシーズンが酣になれば,その記録や名鑑の作成も放っておけない。自分自身が来年も元気でいられるかどうか分からないのに,何の役にも立たない記録を残してどうなるのかと思いつつ,60年以上,生きている証しのように続けていることを,今さら止める気にはなれない。所謂「終活」と逆行する行為で,私の死後,遺った家族には迷惑を掛けると思うものの,遺骸の火葬や埋葬は家族に頼らねばならないのだから,遺品も同様に考えて対処してもらうしかなかろう。
 今年のプロ野球ドラフト会議が終了して,新しい有望な選手の来年度の活躍が楽しみだが,その一方で,例年この時期,戦力外通告を受けて心ならずも去って行かなければならない選手が少なくない。今年も,選手生活を全うして自ら引退を表明した人以外に,育成契約の21名を含めると,現段階で85名が通告されている。その中には,30歳未満で登録年数がまだ5年以下の選手も15名含まれていて,いずれもドラフト会議で当時注目を集めた選手たちだ。今後,他球団のテストを受けて採用されたり,社会人チームに受け入れられたりする者も有ろうが,それは限られた数で,多くは別世界での多難な前途が想像される。プロ野球界に限ったことでは無いけれど,生きるというのは辛いことだと思わざるをえない。既に人生の終わりが見えている私の辛さなど,比べるべくもないことに思われる。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 3

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

この記事へのコメント

いざよひ
2016年10月23日 20:33
さらぬだに散り落つ花の名残りかな 草葉にまじる萩のうは露

この記事へのトラックバック