戦争を知らない

 戦後75年の8月を迎えて,新聞やテレビでは今年も「戦争を語り継ぐ」企画が相次いでいる。もう十数年も前のことになるけれど,戦争体験の話を聞きたいと近所の小学生に頼まれて話をしたことが有る。夏休みに学校から出された課題だったのだろう。私も,戦死した父をはじめ戦火で肉親を喪い,自分も低空飛行をしてきた敵の艦載機に学校の窓から銃撃された経験も有ったが,田舎での疎開暮らしをしていて,都会のような大空襲は免れたので,戦争体験と言ってもそれほど悲惨なものではなく,小学生にどれほど伝えられたか,もう大学を卒業した年齢になっている当時の小学生に一度尋ねてみたいと思う。
 戦後75年が経った今,私自身も平和と自由のすばらしさの印象を忘れつつあり,戦後生まれがほとんどを占める今の人たちに戦中戦後の体験を改めて語ろうとしても,老人の昔話にしかならないのではないかという気がするし,今の社会では,抽象的な観念の世界の域で終わってしまうのかもしれない。それよりも,今年の夏は,新型コロナウイルスの影響のほうが社会でも学校でも大きな関心事になっている。また,老人としては,近年極端に進行した文明の変化のほうが暮らしの上で大きな問題だと感じることも多い。政治や企業経営に携わっている人たちでも,戦争と平和の問題に真剣に取り組んでいるのは僅かな人でしかないと思わせられる。
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